風邪・インフルエンザ予防
にんにくの風邪予防に対する効能は民間療法としてかなり長い歴史があると言われています。その応用範囲は人間だけでなく、乳牛など家畜の風邪を予防するためニンニクを与える牧場もあるほどです。
しかしながら、つい最近までにんにくと風邪に関する研究は行われておらず、単に経験則により漠然とにんにくは風邪に効果的と考えられていたようです。
2000年を過ぎた頃からニンニクと風邪に関する研究報告が徐々に増え、実験データとしてにんにくの風邪に対する効能が証明されるようになりました。
風邪と同様にニンニクのインフルエンザに対する効果性を示す研究報告も増えてきており、現在ではにんにくが風邪やインフルエンザに有効ということは、経験則だけでなく科学的にもある程度証明されている事実です。
にんにくは風邪やインフルエンザの「予防」に効果を発揮する
にんにくと風邪やインフルエンザに関する研究報告の多くは「予防効果」の有効性に言及しているものが多く、既に風邪やインフルエンザにかかってしまった場合の治療や改善にはそれほど効果は期待できないようです。
このことから風邪やインフルエンザが流行る時期には継続的にニンニクを食べる必要があります。
ただし、風邪やインフルエンザに罹ってからにんにくを食べることが「全く意味がない」というわけではありません。血行を良くすることで体温が高まったり、糖代謝が促進されることから多少は症状の改善が期待できます。また、殺菌作用などで他のウィルスや細菌などによる症状の悪化を防ぐ効果も期待できます。
にんにくの風邪・インフルエンザ予防効果の仕組み
にんにくが風邪やインフルエンザの予防効果を持つ仕組みは明確には解明されていませんが、以下の3つが主な根拠と考えられています。
1.疲労回復効果
風邪やインフルエンザは疲労が蓄積し、体力が低下した時に罹りやすくなります。
ニンニクにはエネルギー代謝を促進したり血行を良くするなどの疲労回復作用があります。
にんにくを食べると疲労が回復し、体力が落ちにくくなることから風邪やインフルエンザに罹りにくくなることが推測されます。
2.抗菌・殺菌・解毒を行う効能
にんにくが風邪やインフルエンザを予防する一番の理由と考えられているのがこの「抗菌・殺菌・解毒を行う効能」に起因する「抗ウィルス作用」です。
にんにくの有効成分であるアリイン、そしてアリインが調理過程で変化するアリシンには強力な抗菌・殺菌作用があります。その効能はにんにくの精油を12万倍に薄めてもコレラ菌やチフス菌を死滅させると言われる程です。
このにんにくの効能がウィルスを死滅もしくは弱体化させ、体内への感染を防ぐことで風邪やインフルエンザを予防すると考えられます。
ただし、当然のごとく全てのウィルスに効果があるわけではないようで、はしかウィルスや日本脳炎ウィルスには効果が無かったという研究報告もあります。
3.免疫力を高める効能
風邪やインフルエンザを予防したり治す時に一番重要な体内機能は免疫力です。
ニンニクには抗酸化作用や抗体の産生、NK細胞の活性化を促進するなど免疫力を高める作用があります。前述した抗菌・殺菌・解毒作用も広義の意味では免疫力です。
このような免疫力を高めるにんにくの効能が風邪やインフルエンザ予防効果を高めていることは容易に推測できます。
尚、NK細胞の活性化は通常のにんにくよりも黒にんにくでの効果が大きいという研究報告があります。(黒にんにくの詳細はこちら)
→にんにくの免疫力を高める効能の詳細はこちら
その他
その他にもにんにくが風邪やインフルエンザに効果的な理由がいくつかあります。
にんにくの持つ血行促進作用は体を温めウィルスの活動を弱体化させます。また、肝機能の負担を軽くする作用は間接的に滋養強壮や免疫力アップに繋がります。食欲を高める効果も食事をしっかり摂って体力がつけるという意味で風邪・インフルエンザ予防効果に繋がると言えるでしょう。
風邪やインフルエンザには黒にんにくやにんにく卵黄が効果的
通常のにんにくだけでも十分風邪やインフルエンザ予防を期待できますが、「黒にんにく」や「にんにく卵黄」といった食品は更に風邪・インフルエンザ予防効果が期待できます。
黒にんにくは免疫力を高める
黒にんにくはにんにくを熟成させたものですが、この熟成させる過程で通常のにんにくには少量しか含まれていないS-アリルシステインの含有量が増大します。
S-アリルシステインは抗酸化作用や免疫力を高める作用があるため、通所のにんにくよりも風邪・インフルエンザに対する効果が高まると言われます。
にんにく卵黄は体力を高める
にんにく卵黄はにんにくと卵黄を混ぜて粉末状、もしくは丸薬の形にしたものです。にんにくも栄養価の高い食物ですが、卵黄は栄養価が高いだけでなくビタミン、ミネラル、アミノ酸などがバランス良く含まれています。
その為、にんにく単体よりも全体的に栄養価が高くなり、体力を高める効果が増します。特に風邪やインフルエンザ時の食欲低下による栄養不足を補う働きが期待できます。
また、にんにくと卵黄の相乗効果として免疫力アップや血行促進の更なる向上が見込めることも風邪・インフルエンザに対する効果が高まると言えます。
風邪・インフルエンザにおけるにんにくの注意点・危険性
にんにくは風邪やインフルエンザに効果的と言えますが、少し注意点があります。
日常的ににんにくを摂ることが重要
前述したようにニンニクの風邪・インフルエンザに対する効果は主に予防効果です。風邪の場合はまだ改善効果が見込めますがインフルエンザの場合はあまり期待できません。
その為、重要なのは日々にんにくを食べて風邪やインフルエンザにならないことです。
普段、にんにくを食べずインフルエンザに罹ってから沢山食べてもそれほど効果は期待できません。
胃痛・腹痛に注意
風邪やインフルエンザを予防したり治すためににんにくを大量に食べるのは危険です。
風邪やインフルエンザに罹ってしまった時は体力が低下し、胃腸が弱くなっている可能性があり、その時に刺激の強いにんにくを食べると元気な時よりもにんにくの副作用が出やすくなりますのでご注意ください。
尚、病院に行って薬を貰っている場合は特に注意が必要です。
薬の中には胃や腸を荒らすものがあるので、それと一緒ににんにくを食べると胃痛や腹痛になりやすくなります。
心配な方は念のため医師に確認してみるといいでしょう。
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