胃潰瘍・十二指腸潰瘍予防
にんにくは胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防や改善に効果があると言われますが、残念ながらそれはシャーレやマウスの実験段階に留まっているようです。
人間がにんにくを食べて胃潰瘍、十二指腸潰瘍が改善するという見解には否定的な実験報告も多く、効果性はあまり期待できないかもしれません。
しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に対して小さいながらもにんにくが何らかの影響を及ぼしている可能性は高く、全く効果が無いと言えないのも事実です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?
胃潰瘍、十二指腸潰瘍とも潰瘍ができる位置が違うだけで基本的には同じ病気と考えてよいかと思います。
潰瘍とは胃や腸の内壁が傷ができたり穴があいたりして損傷した状態のことです。これは主に胃から分泌される胃酸によって生じます。
通常は内壁を保護するための粘膜があり、胃酸によって損傷することはありませんが、何らかの原因で粘膜の分泌が減ったり、胃酸が多くなることで両者のバランスが崩れ内壁に潰瘍ができるようになります。
胃や十二指腸に潰瘍があると胃もたれや胸焼けを感じるようになります。更に酷くなると激しい腹痛や吐血、下血する場合もあります。
早めに治療すれば、比較的簡単に治る病気ですが、症状が悪化したり慢性化すると癌(がん)の要因にもなるので注意が必要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因
基本的な胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因はヘリコバクター・ピロリ菌という細菌であることが分かっています。
ピロリ菌が分泌する毒素やアンモニア、そしてそれが原因で産出される活性酸素などが内壁を傷つけ潰瘍を作ります。
しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているからといって必ずしも胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるわけではありません。
ピロリ菌に加え次のような胃潰瘍や十二指腸潰瘍を促進する危険因子によって症状を発症しやすくします。
- タバコ
- 喫煙
- コーヒーなどのカフェイン飲料
- 熱い飲食物
- ストレス
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
にんにくが胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善する仕組み
にいにくに胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善効果があると言われるのは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の主な原因であるヘリコバクター・ピロリ菌を排除する効能があるからです。
にんにくを継続的に食べている人は胃癌(がん)リスクが減るという研究報告がありますが、これもにんにくのピロリ菌排除効果が関係しているとも考えられます。
キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどに含まれるイオウ化合物(イソチオシアネート)もピロリ菌を排除する効能があるとされますので、イソチオシアネートは含まれていないもののジアリルスルフィドなどのイオウ化合物を含むにんにくにピロリ菌を排除する効能があることは理解できます。
実際ににんにくがピロリ菌の感染を軽減したり、ピロリ菌の増殖を抑制したという研究報告があります。これらの効能はにんにくに含まれるアリシンやアリシンが変化して産出されるジアリルスルフィドなどのイオウ化合物によるものと考えられます。
しかし、これらの研究報告はマウスなどの動物や実験容器内での現象に留まり、人間での検証結果はまだありません。
逆に人間における臨床結果で「にんにくを食べることによりピロリ菌が排除されることはない」と明確に否定する研究報告も少なくありません。
現段階では、にんにくを食べることによる胃潰瘍や十二指腸潰瘍の改善効果を期待することは難しいようです。ただ、にんにくがピロリ菌を排除する効能があることは確かなので長期的な摂取による効果や他の治療薬の補助的な効果の可能性は残されています。
にんにくの胃潰瘍や十二指腸潰瘍改善効果を期待する場合の注意点
にんにくは刺激物ですので胃粘膜等を荒らして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を改善する効果とは真逆に症状を悪化させる可能性があります。
適量であれば、消化を良くするので胃潰瘍や十二指腸潰瘍の改善効果はなくとも胃や腸には良い影響を及ぼしますが、にんにくを食べ過ぎたり、空腹時に生にんにくを食べたりすると胃や腸の粘膜を荒らし、胸焼けや腹痛の原因になるので気を付けましょう。
にんにくの適量は個人差がありますが、一般的に加熱調理したにんにくであれば1日2~3かけら、生のにんにくであれば1日ひとかけらと言われます。
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