黒ニンニクとは?
黒にんにくとは一般の白いにんにくを高温・多湿という環境のもとで、約1ヶ月程度熟成させて作られたものです。
長時間熟成されたにんにくは添加物を使用しなくても自己発酵し、その結果黒くなります。これが「黒にんにく」という名前の由来です。
現在では一般的に「黒にんにく」と呼ばれますが、「発酵黒にんにく」「発酵にんにく」「熟成にんにく」と言われることもあります。
発酵黒にんにくの由来と生産地
黒にんにくがいつどこで開発されたかは明確になっていませんが、三重県が発祥地という説が有力です。現在でも三重大学や三重県の民間機関による研究は盛んなようです。その他、にんにくの産地である青森県も黒にんにくの生産が増えてきています。
海外では韓国産の黒にんにくが多く流通しており、日本産の黒にんにくはあまり普及していません。
また黒にんにくはサプリメントなど健康食品的な側面も強く、多くの健康食品企業が製品化をしています。
発酵黒にんにくが黒くなる理由
黒にんにくは熟成発酵させたにんにくですが、発酵につきものである酵母菌などの微生物が関与していないとされます。
黒にんにくの発酵とは、にんにくに含まれる糖質とアミノ化合物によるメイラード反応と言われており、化学反応による現象です。ですので厳密にいうと「熟成黒にんにく」とは言えますが、「発酵黒にんにく」は間違いになります。
メイラード反応は抗酸化作用の効能を高めることが多いので、黒にんにくが通常のにんにくよりも抗酸化力があると言われるのはこれが要因かもしれません。
発酵黒にんにくと通常のにんにくとの違い
黒にんにくは通常のにんにくと比べると大きく変わる点がいくつかあります。にんにくは熟成の過程で徐々に黒くなり、一部の成分が変化していきます。最終的には真っ黒になって熟成が完了します。
黒にんにくの大きな変化は見た目が黒いことと、にんにく特有のニオイが無くなることです。それ以外にも成分や効能に変化がでます。
具体的には以下のようなものがあります。
- 色が黒い
- にんにく特有の刺激臭が無い
- 糖度が増え、ドライフルーツのような甘さがある
- アミノ酸(たんぱく質)が増加する
- 有効成分「S-アリルシステイン」が増える
- ポリフェノールが増加する
- 抗酸化作用が強まる
- 免疫力強化作用が強まる
- 癌(がん)予防効果が向上する
発酵黒にんにくの成分特徴
黒にんにくは通常のにんにくと成分内容に変化でます。にんにくの種類や熟成の条件によって違いはありますが、傾向として次のような変化が見られたという報告があります。
- アミノ酸18種のうち13種類が増加した。(青森県黒にんにく協会)
- 炭水化物の量が1.7倍に増加した。(青森県黒にんにく協会)
- S-アリルシステインの量が8倍に増加した。(青森県黒にんにく協会)
- ポリフェノールの量が8~12倍に増加した。(三重大学)
発酵黒にんにくに期待される効能や効果
黒にんにくは今や健康食品やサプリメントとして販売されるほど、健康への効能や効果が期待されている食品です。そもそも黒にんにくは健康増進のための研究過程で生まれた言われています。
通常のにんにくも多くの効能や効果が期待できますが、熟成発酵された黒にんにくはその中の一部の作用が強まるとされます。主なものとして以下の3つがあります。
抗酸化作用が強まる
通常のにんにくにも抗酸化作用はありますが、熟成させた黒にんにくは更に抗酸化作用が強まると言われています。
メイラード反応により抗酸化作用が強まることがありますが、黒にんにくも例外ではないようです。成分的な面ではS-アリルシステインが大幅に増えることが影響しているとの推測がされています。またポリフェノールが増加したことも一因と考えられますが、何故ポリフェノールが増えるのか、そしてどのポリフェノール成分が増加しているのかは明確になっていないようです。
免疫力を高める
黒にんにくの効能として免疫力を高めることが注目されています。黒にんにくには通常のにんにくの効能に加え、抗酸化作用が強まるので免疫力が高まることは想定できますが、注目すべきは免疫細胞を活性化する働きがあることです。
佐々木元弘前大学教授の研究報告によると、黒にんにくには免疫細胞、特にNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化する現象が確認されたということです。
NK細胞とは通常の免疫細胞とは異なり、免疫プロセスを経ずに有害物質を攻撃する細胞で、ウィルスや腫瘍などの排除に威力を発揮します。
このNK細胞を活性化させる働きは黒にんにくによって増加したS-アリルシステインによる効能と考えられています。
抗癌(がん)作用が強まる
黒にんにくが一番注目されたのは癌(がん)予防効果です。通常のにんにくにも抗癌(がん)作用の効能は確認されていますが、黒にんにくは更に強い効果が見込めると言われます。
黒にんにくが持つ抗酸化作用と免疫力向上作用は共に癌(がん)予防に効果的な働きで、特にS-アリルシステインの持つNK細胞を活性化させる効能は癌(がん)細胞を抑制するのに効果的です。
黒にんにくの癌(がん)に対する研究報告は複数あり、現在も研究が続けられているようです。
黒にんにくの注意点
黒にんにくは高温・多湿の状況で熟成させることは共通認識としてありますが、その製法が決まっているわけでなく、作り方によって条件が異なる可能性が多々あります。
従って、当ページでご紹介した黒にんにくの特徴や成分、効能・効果に関してはあくまで傾向の範囲とご認識ください。
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