ビタミンB6
ビタミンB6はにんにくに豊富に含まれている栄養素の一つです。
にんにくの成分ではアリシンなどの硫黄化合物が有名なのであまり知られていませんが、水分が40%以上含む食べ物の中で一番ビタミンB6を含む食べ物がにんにくです。
ニンニクにはたんぱく質や脂質の代謝、神経伝達物質や抗体の合成などの働きがあり、にんにくの健康効果である動脈硬化予防、風邪・インフルエンザ予防、糖尿病予防などの作用を高めています。
にんにくとビタミンB6の関係を詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
ビタミンB6の基礎知識
ビタミンB6は水溶性のビタミンで、余分なビタミンB6は排出され、体内で蓄積されないため常に摂取が必要なビタミンです。
化学名で言うとピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンリン酸、ピリドキサールリン酸、ピリドキサミンリン酸の総称となります。
一般的にはビタミンB6というとピリドキシンのことを指す場合が多いです。
にんにくのビタミンB6含有量
にんにくに含まれるビタミンB6の含有量は文部科学省の「日本食品標準成分表(七訂)」によると100g中1.5mgもあります。
これは水分が40%以上の食品(つまり乾燥食品ではない)の中では堂々第1位の含有量です。2位のカブの漬物が100g中1.1mgですのでダントツで多いと言えます。
尚、ビタミンB6の必要摂取量が大人の男性の場合1.4mg/1日、女性の場合1.2mg/1日ですのでにんにくを100g食べれば必要量に達してしまいます。
とはいえ、ニンニクひとかけらが約6g程度なので約16個食べる必要があります。これはさすがに口が臭くなるし、胃を痛める可能性があるので止めた方がいいでしょう。
ビタミンB6は魚に多く含まれているので、刺身の薬味としてにんにくを付けることなどが効率的なビタミンB6摂取の方法となるでしょう。
お勧めの食材はカツオです。ビタミンB6が多く含まれているだけでなくビタミンB6と一緒に摂るべき栄養素も多く含まれているためです。カツオのたたきをにんにく醤油で食べるのは美味しく、効果的な栄養摂取ができるのでお薦めです。
ビタミンB6の働き・効能
ビタミンB6は体内における様々な代謝に必要な物質です。
もっとも重要な働きや効能な「たんぱく質(アミノ酸)の代謝」です。
ビタミンB6はたんぱく質を代謝する際の広範囲にわたる重要な酵素(補酵素)です。人間の組織の殆どはたんぱく質でできているのでビタミンB6が不足すると様々な弊害が出ます。
その他、ビタミンB6は以下の作用に関わっています。
- 脂質の代謝
- 神経伝達物質の合成
- ヘモグロビンの合成
- 抗体の産出
- 糖新生の代謝
ビタミンB6の効果
ビタミンB6の働きや効能は次の症状に対して効果が期待できます。
- 筋力アップ
- 美肌・肌荒れ
- 美髪
- 精神安定
- 記憶力(認知力)
- 末梢神経障害
- 痙攣(けいれん)
- こむら返り(足がつる)
- 手足のしびれ
- 貧血
- 免疫力
- アレルギー
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 妊娠中の吐き気・つわり
- 月経前症候群(PMS)
- 脂肪肝
- 成長促進
ビタミンB6が関係するにんにくの効果・効能
にんにくに期待できる効果・効能の中でビタミンB6が関わっているものには次のものがあります。
風邪・インフルエンザ予防効果
ビタミンB6は抗体(免疫グロブリン)という免疫組織を作る上で必須の補酵素です。
抗体はウィルスや細菌など異物の害を中和したり、マクロファージなどの攻撃的な免疫組織を呼び込みその異物を排除する働きがあります。
このように抗体は免疫力の中枢であり、ビタミンB6があってはじめて抗体の産生がスムーズになります。抗体の産生がスムーズになるということは免疫力が高まり、風邪やインフルエンザの予防効果も高まると言えます。
にんにくの風邪・インフルエンザ予防効果の中心はアリシンなど硫黄化合物の殺菌作用によるものですが、このビタミンB6による抗体生産を促進する働きによって更に効果が高まることが考えられます。
動脈硬化予防・改善効果
ビタミンB6の不足は動脈硬化のリスクを高める血中ホモシステインを増加させます。逆を言うと、ビタミンB6が十分にあれば血中ホモシステインの増加リスクを軽減し、動脈硬化の予防に繋がります。
にんにくにの主な動脈硬化予防効果はS-アリルシステイン、アホエンなどの硫黄化合物による「コレステロールを下げる効能」「活性酸素を除去する効能」「血栓をできにくくする効能」「血管を拡張する効能」によるものですが、ビタミンB6が含まれていることで更に動脈硬化のリスクが軽減していると考えられます。
肝機能強化・肝臓障害改善効果
ビタミンB6は脂質の代謝を促進しますので肝臓に脂肪が溜まりにくくなり、脂肪肝のリスクを減らします。
にんにくの肝機能強化効果とはアリシンによる糖質の代謝促進および殺菌作用、ビタミンEやポリフェノールによる抗酸化作用により肝臓の負担を軽くすることが根拠となっています。
脂質の代謝を促進することも肝臓の負担を軽くしますから、ビタミンB6によって更に肝機能強化の効果性が高まると言えます。
アンチエイジング(老化防止)効果
にんにくのアンチエイジング効果とはビタミンEやポリフェノール、硫黄化合物による抗酸化作用とアリシンなどによる血行促進作用が主な根拠となっています。
これに加え、ビタミンB6はたんぱく質の代謝を促進するので体の各組織の新陳代謝を高めることになります。特に肌と髪にハリとコシを与えるので、美容面でもアンチエイジング効果が高まると言えます。
糖尿病予防・改善効果
にんにくは糖代謝を促進するため糖代謝の予防や改善効果があると言われます。
ビタミンB6が関わる糖尿病への効果とは糖新生の代謝にあります。糖新生とは糖質が不足した時に糖の代わりに脂質などをエネルギー源にする代謝活動です。
糖尿病患者の多くは糖質制限をしているため、エネルギー代謝を糖新生で補います。この時、ビタミンB6は糖新生を促進する重要な要素となります。
もし、ビタミンB6が不足していると糖新生がスムーズに行われないため、エネルギー供給ができず元気がなくなります。元気がなくなると運動量が減り、糖尿病が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
また、糖尿病を軽減するクロムの吸収を高めたり、糖尿病が起因する神経障害や動脈硬化を軽減する効果も期待できます。
ビタミンB6と一緒に摂るべき栄養素や食べ物
ビタミンB6は単体で機能することは殆どなく、他の栄養素と一緒になって代謝活動などを行います。
その為、前述したような効果を得るにはビタミンB6だけではなく、他の栄養素も必要になります。
そういった栄養素は数多くありますが、特にビタミンB6と一緒に食べることが重要な栄養素と食品をいくつかご紹介します。
ビタミンB2
ビタミンB6とビタミンB2には非常に密接な関係があります。
まずビタミンB2が無いとビタミンB6が体内で活性化(機能すること)ができません。
またビタミンB2もたんぱく質(アミノ酸)の代謝に関わっているので、ビタミンB6が十分でもビタミンB2が不足しているとたんぱく質の代謝がスムーズにいきません。
更に、ビタミンB6とビタミンB2は共に皮膚の代謝や合成に関わっているので、両者を十分に摂ることで美肌効果がアップします。
ビタミンB2を多く含む食べ物
ビタミンB2を多く含む食べ物には次のようなものがあります。
- レバー(豚/牛/鶏)
- はつ(豚/牛/鶏)
- うなぎ
- 納豆
- 卵(卵黄)
この中でにんにくに合うのは「レバー」と「はつ」でしょう。レバーかはつを使った肉野菜炒めがお勧めです。
調味料としてにんにくを入れれば美味しくビタミンB2、ビタミンB6だけでなく野菜に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維を同時に摂ることができて非常に健康的です。
ビタミンB12、葉酸
ビタミンB6が不足すると血中ホモシステインが増加し、動脈硬化のリスクが高まるとご説明しましたが、実はビタミンB6が十分でもビタミンB12と葉酸が不足していると血中ホモシステインは増加します。
つまり、血中ホモシステインの増加リスクを軽減するにはビタミンB6とビタミンB12、葉酸を十分に摂る必要があるのです。
ビタミンB12を多く含む食べ物
- しじみ
- 赤貝
- レバー(牛/豚/鶏)
- あさり
- はまぐり
- 牡蠣
葉酸を多く含む食べ物
- レバー(豚/牛/鶏)
- うなぎ
- うに
- 枝豆
- モロヘイヤ
ビタミンB12も葉酸も前述のビタミンB2と同じくレバーに多く含まれているので、レバーを入れた野菜炒め(またはレバニラ炒め)などににんにくを入れて食べるのがお勧めです。
トリプトファン、ナイアシン、マグネシウム
にんにくの効果として取り上げられることは少ないのですが、にんにくが抑うつや精神安定に効果的と言われる場合があります。
それはビタミンB6がセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン及びγ-アミノ酪酸(GABA)など神経伝達物質の合成に深く関わっていることに起因します。
この神経伝達物質の合成にも他の栄養素が必要で、重要なものとしてはトリプトファン、ナイアシン、マグネシウムがあります。これらも一緒に摂るとよいでしょう。
トリプトファンを多く含む食べ物
- 大豆
- かつお
- 高野豆腐
- しらす干し
ナイアシンを多く含む食べ物
- たらこ
- まぐろ
- かつお
- いわし
マグネシウムを多く含む食べ物
- なまこ
- しらす干し
- あおさ海苔
- わかめ
- ひじき
ビタミンB6、トリプトファン、ナイアシン、マグネシウムを一度に沢山食べるには「かつおのたたき」にあおさ海苔をまぶし、にんにく醤油で食べるなんていかがでしょうか。
ビタミンB6の副作用・注意点
にんにくを食べる分にはビタミンB6の副作用や危険性を気にする必要は全くありません。
ただし、サプリメント等でビタミンB6を多く摂っている人に関しては過剰症になる可能性はあります。
ビタミンB6の過剰症としては次のようなものがあります。
- 神経障害
- 筋力低下
- 吐き気
- 食欲不振
- etc.
過剰症になる目安は200mg以上/1日以上と言われますので、余程のことが無い限り過剰症にはならないでしょう。
→ビタミンB6のことを更に詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
※このページはリンク先の内容を参考にしています。
adsense
関連記事
-
アリルメチルスルフィド(AMS)とは?
アリルメチルスルフィド(Allyl methyl sulfide:AMS)とは有機硫黄化合物の一つで
-
ニンニクの栄養成分一覧
ここでは、にんにく(生)の主要な栄養成分一覧をご紹介します。各データは「National Nutri
-
ジアリルジスルフィド(DADS)とは?
ジアリルジスルフィド (diallyl disulfide/DADS) はにんにくから発生する成分の
-
アリルメルカプタンとは?
アリルメルカプタン(Allyl Mercaptan)は、ネギ属植物に由来する硫黄化合物の一種で不快臭
adsense
- PREV
- 【ニンニク+卵黄/DHC】の特徴と口コミにおける効果・副作用・注意点
- NEXT
- 卵黄の効果・効能