アリシンとは?
アリシンとはイオウ化合物の一種でにんにくの効能や効果の中心となる成分です。にんにの効能や効果はアリシンの効能・効果と言い換えることができる程です。そして、にんにくの特徴でもある特有のニオイの源もこのアリシンなのです。
アリシンはにんにくに含まれていない!?
しかしにんにくにアリシンそのものは含まれていません。にんにくに含まれている成分はアリシンの素となるアリインという成分です。アリインは無臭で抗酸化作用はあるもののアリシンのような様々な効能や効果はありません。
アリシンはこのアリインが変化してできる成分なのです。にんにくを切ったりすりおろしたりすると、アリインを含む細胞が壊れ、同様ににんにくに含まれているアリナーゼという酵素と反応することによりアリシンが発生します。つまり、アリシンはアリインとアリナーゼによって生成されるのです。
アリシンはにんにくの防御機能
元々アリシンは害虫や細菌、動物などの外敵から身を守るにんにくの自己防衛機能なのです。アリシンには強力な抗菌・殺菌力があります。虫や細菌がにんにくをかじるとアリシンが発生し、抗菌・殺菌作用によてその虫や細菌を退けるのです。
では、何故アリシンは始めから成分としてにんにくに含まれていないのでしょうか?
それはアリシンが非常に反応性の高い物質なため、にんにくという環境下でアリシンの状態を維持できないからと考えられます。
アリシンは更に変化することで効能・効果を高める
アリシンはアリインが変化してできる成分ですが、アリシン自体も不安定な物質なため、空気や熱、その他の物質と反応して別の物質に変わってしまいます。
様々な物質や条件で変化するので、何十種類との言われる物質に変化すると言われますが、その殆どがイオウ化合物です。代表的なものはジアリルジスルフィド(DADS)、ジアリルトリスルフィド(DATS)、アホエン、そしてアリチアミンです。
アリインがアリシンに変化し、そのまま時間が経つとジアリルジスルフィド(DADS)が発生し、加熱をするとジアリルトリスルフィド(DATS)、アホエンと変化していきます。これらの成分も比較的反応しやすく、他の物質や外的条件によって更に変化します。
アリチアミンは例外で、アリシンとビタミンB1が結合してできる成分で、安定した物質なので長時間状態を維持します。
これらの変化によって、血液サラサラ作用や解毒作用、疲労回復効果や抗癌(ガン)作用などアリシン単体には無い、もしくは弱い効能が期待できるようになります。一般的にアリシンの効能と言われるのは、これらアリシンが変化した成分の効能を含めたものを指します。
アリシンに期待できる効能や効果
アリシンに期待できる効能や効果とは、ほぼにんにくに期待できる効能や効果と同じですので、詳細は「にんにくが持つ21の効能・効果」をご覧頂ければ良いかと思います。また、既述した通り、アリシンの効能や効果という場合は、ジアリルジスルフィド(DADS)などアリシンが更に変化した成分の効果・効能を含めたものを指す場合が多くあります。
アリシンの純粋な効能・効果は、なんと言っても強力な「抗菌・殺菌」作用です。また、たんぱく質の分解を促進する働きもあります。焼き肉やステーキのつけ合わせにニンニクがでてくるのはスパイスとしての効果だけでなくたんぱく質の消化吸収を促進する効能もあるのです。その他、アリシンには若干の抗酸化作用もあるようです。
ジアリルジスルフィド(DADS)、ジアリルトリスルフィド(DATS)、アホエン、アリチアミンなどアリシンが変化した成分まで含めると、次のような効能・効果が期待できます。
- 抗菌・殺菌作用
- 疲労回復
- 抗酸化作用
- 血小板凝集抑制作用
- 血圧降下作用
- 解毒作用
- 抗癌(ガン)作用
- etc.
アリシンの副作用・危険性
アリシンの抗菌・殺菌作用は強力なため、体内の悪玉菌だけでなく善玉菌まで殺してしまいます。そのため、一番悪影響が出るのが腸内細菌です。アリシンの殺菌作用は腸内の悪玉菌である大腸菌などばかりでなく、ビフィズス菌などの善玉菌やビタミンを生産する菌も殺してしまうのです。
その為、空腹時に生のにんにくなどを多く食べたりした場合は胃腸障害が起きたり、ビタミンB2、ビタミンB6、ビオチン、パントテン酸といったビタミンが不足することとなり、口角炎や皮膚炎が起こる可能性があります。
尚、アリシンがジアリルジスルフィド(DADS)など他の成分に変化した場合は、殺菌力は若干弱まります。
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