癌(がん)予防・抑制

にんにくが健康や医療においてもっとも期待されているのは癌(がん)に対する効果だと思われます。にんにくの癌(がん)に対する効果は多くの研究で報告されており、実際ににんにくの成分を使った癌(がん)予防・抑制を目的とした製品も作られています。

にんにくの癌(がん)に対する効果が一躍注目を浴びたのは、1990年にNIC(アメリカ国立がん研究所)が中心となった研究プロジェクト(デザイナーフーズ・プロジェクト)でにんにくが「癌(がん)予防に有効な成分を含む食品」の頂点にランクされてからです。

もっともにんにくの癌(がん)に対する研究報告はもっと古く、1957年には米国ケースウェスタンリザーブ大学の研究員によってにんにくの抗腫瘍効果に関する報告がされており、その後も様々な研究機関で多くの論文が提出されています。

これらの研究報告をみていくと、にんにくは全ての癌(がん)に対して効果的なわけではなく、また予防や抑制する効果は期待できるが、治療するほどの効果は期待できないことが分かります。

また、にんにくの癌(がん)に対する効果性に関しては一致しているものの、その効果の仕組みは様々です。これはニンニクに含まれる成分の種類が多く、そして変化しやすいことに起因していると思われます。そういった意味では、にんにくの癌(がん)に対する効能はまだ研究段階にあるといえます。

その内容を含め、にんにくの癌(がん)に対する効果をもう少し詳しくご紹介します。

癌(がん)とは?

まず、簡単に癌(がん)の説明をします。

癌(がん)とは細胞のDNA(遺伝子)損傷により異常細胞(がん細胞)が発生し、それが増殖することで腫瘍となる病気です。腫瘍をそのまま放置すると全身に転移し、死に至ります。

癌(がん)の原因とがん細胞の発生プロセス

細胞は分裂・増殖と死滅(アポトーシス)という一定のサイクルを繰り返すことで細胞の健康性を保っています。

しかし、何らかの原因で細胞のDNAが損傷すると、そのサイクルに異常が発生して「死滅(アポトーシス」が行われなくなります。これが「ガン細胞」と言われるものです。

がん細胞は健康な体でも常に発生していますが、通常の場合はDNAが損傷しても修復され、がん細胞が発生しても免疫機能が排除します。しかし、ガン細胞が大量に発生したり、免疫力が落ちているとがん細胞を排除しきれなくなり、がん細胞は増殖を続け悪性腫瘍となっていきます。

そして悪性腫瘍は増殖を続けると同時に他の器官にダメージを与えるようになり、「ガン」という症状が発症します。

細胞のDNAが損傷する原因は完全には解明されていませんが、一般的は「生活習慣(特に食習慣)」と「外部物質」のどちらか、もしくは両方の複合的な影響によるものものと考えられています。

「生活習慣」に関しては、過労やストレス、運動不足などが要因としてあげられています。もっともリスクが高いのは「喫煙」ということが分かっています。その他にもアルコールや塩分の摂取、肥満なども癌(がん)のリスクを高めます。

外部物質とは化学物質やウィルス、紫外線や放射線、毒物などがあります。生活習慣であげた「喫煙」も正確にはタバコに含まれる発がん性の化学物質が原因になります。尚、これら外部物質は一般的に「発がん性物質」と呼ばれます。

また、これらの要因は活性酸素を代表とするフリーラジカルによって癌(がん)のリスクを更に高めると言われています。

にんにくによる癌(がん)予防・抑制効果の仕組み

にんにくによる癌(がん)予防・抑制の仕組みは主に以下の3点になります。

  1. 発がん性物質を代謝・解毒することで無害化し、体外に排出することでガン細胞の発生を阻止する。
  2. ガン細胞化した細胞を死滅させることでガン細胞の増殖を阻止する。
  3. 免疫機能を強化し、発がん性物質、ガン細胞の排除を促進する。

これらはにんにくに含まれる複数の成分による複数の効能が多角的に作用して効果を発揮します。

それぞれの仕組みをもう少し詳しくご説明します。

発がん性物質を代謝・解毒することで無害化し、体外に排出することでガン細胞の発生を阻止する

発がん性物質はそのままで発がん作用を持つことは少なく、体内で活性化されることにより発がん物質となります。

にんにくに含まれる硫黄化合物は肝臓の解毒機能を活性化し、「発がん性物質自体の解毒」および「発がん性物質の活性化を抑制する」ことで発がん性物質を無害化し、癌(がん)を予防します。

この解毒機能活性化はにんにくの成分が肝臓の解毒酵素を誘導し、活性化することで行われていますが、そのメカニズムは明確には解明されていません。

しかし、ジアリルスルフィド(DAS)、ジアリルジスルフィド(DADS)、ジアリルトリスルフィド(DATS)、S-アリルシステイン(SAC)といった硫黄化合物にはこのような効能あることが実験で分かっています。

特にS-アリルシステイン(SAC)は、肝臓ガンなどの発がん物質とされ肝臓障害や動脈硬化の要因ともなる過酸化脂質を代謝し、減少させる効能があることが実験で報告されています。

また、にんにくに含まれるビタミンEやポリフェノール類、そして硫黄化合物など抗酸化作用を持つと言われる成分は、これら発がん性物質を活性化させると言われる活性酸素を除去することでガン細胞発生を抑制していると考えられます。

ガン細胞化した細胞を死滅させることでガン細胞の増殖を阻止する

細胞には分裂を行うための細胞周期というものがあります。細胞周期にはG0・G1・S・G2・Mというサイクルがあり、大まかにG0期は休止期、G1~G2期は細胞の分裂の準備をする期間、M期で分裂が行われます。

このG1~M期のそれぞれの期間にDNAの損傷がないかチェックされ、損傷があった場合は修復し、もしくは死滅(アポトーシス)させるという細胞のがん化を防ぐシステムがあります。

しかし、何らかの原因でこのシステムが効かなくなり、ガン細胞化すると細胞周期は正常に行われなくなり、分裂を繰り返し増殖していきます。

にんにくに含まれるジアリルジスルフィド(DADS)、ジアリルトリスルフィド(DATS)、アホエンといったアリルスルフィド類には、このガン細胞化した細胞をM期で停止させアポトーシス誘導(死滅させる)を行う効能があると実験で確認されています。

このため、にんにくにはガン細胞化した細胞を死滅(アポトーシス誘導)させ、ガン細胞の増殖を防ぐ効果があるとされています。

これはがん治療で使われる薬にも同様の仕組みを持つものがあります。薬の場合は副作用がありますが、にんにくの場合は副作用はありません。しかし、この効果の範囲や仕組みはまだ明確になっておらず、まだ実用的な利用が期待できる程ではありません。

尚、この効能はアリルスルフィド類の中でもジアリルトリスルフィド(DATS)によるものが最も強力と言われています。

免疫機能を強化し、発がん性物質、ガン細胞の排除を促進する

ガン細胞を防止する生理機能として細胞周期のチェック機能によるDNAの修復や死滅(アポトーシス)誘導があると既述しましたが、実は細胞がガン化した後もそのガン細胞を排除する機能が人間にはちゃんと備わっています。

それが免疫機能です。免疫機能の中でもNK細胞(ナチュラルキラー細胞)という免疫細胞がガン細胞を見つけるとすぐに排除します。

しかし、ガン細胞もNK細胞を攻撃し、ガン細胞が多いとNK細胞の効力は低下していきます。

にんにくに含まれる硫黄化合物はこの効力が低下したNK細胞を活性化させ、免疫力を強化する効能があるとされます。

硫黄化合物の中でも特にS-アリルシステイン(SAC)はNK細胞を活性化させる作用が強いとされ、ガン細胞の排除を促進すると言われます。

S-アリルシステイン(SAC)はにんにくを熟成させると含有量が増えます。熟成ニンニク抽出液(AGE)や黒ニンニクが癌(がん)に効果的と言われるのはこのためです。

 

このようににんにくは「発がん性が体内に入ってきた時」「細胞がガン化した時」「ガン細胞が増殖する時」という3つの段階で癌(がん)を予防・抑制する効果があるのです。

尚、にんにくに多く含まれるゲルマニウムも癌(ガン)に効果的と言われていた時期がありますが、実際のところ、にんにくにゲルマニウムはppb (10億分の1) レベルしか含まれておらず、殆ど効果は期待できないようです。

 

にんにくで予防・抑制が期待できる癌(がん)、期待できない癌(がん)

にんにくには癌(がん)を予防、抑制する効能がありますが、現在までの実験結果によると全ての癌(がん)に対して効果があるようでは無いようです。

もっとも効果が期待できるのが、「胃がん」と「大腸がん」で多くの実験結果が有効性を示唆しています。特に胃がんは、にんにくを1.5kg以上/年食べると発生リスクが50%下がるという研究報告もあります。

逆にほぼ期待できないと言われているのが、「乳がん」と「肺がん」です。その他、肝臓がん、腎臓癌、食道癌、喉頭部癌、口腔癌、前立腺癌、卵巣癌等は効果は期待できるが不確実性が高いと考えられています。

いずれにせよ、にんにくの癌(がん)に対する効果は、まだ不明点も多いため研究段階にあることは否めず、今後の研究報告が期待されています。

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