便秘・下痢解消
にんにくが便秘解消や下痢の改善に効果的であることは意外と知られていません。確かににんにくが便秘や下痢の特効薬と言える程効果は期待できませんが、それでも、にんにくのいくつかの効能は便秘や下痢に効果的と言えます。
また、にんにくの良いところは便秘や下痢の解消とともにしっかり栄養補給ができたり、血行を良くしたりと健康的に便秘・下痢を改善することができることです。
しかしながら、前述した通りにんにくの便秘・下痢に対する効果は限定的です。その内容を理解するためにも、まずは便秘や下痢の仕組みを簡単にご説明します。
便秘・下痢とは?
便秘とは一定期間排便回数や排便量が少なくなることです。一定期間というのは個人差がありますが一般的には3日以上が目安になります。
便秘には種類があり、病気に起因する「器質性便秘」と腸機能の低下や生活習慣・食習慣の乱れ等による「機能性便秘」です。
機能性便秘も三種類に分かれます。一つは排便能力の低下により排便できなくなる「弛緩性便秘」、次に排便感覚が鈍くなる「直腸性便秘」、最後は過敏性腸症候群とも言われますが腸の働きが異常になる「けいれん性便秘」です。
一方、下痢は極端に水分量の多い便が排出される症状のことを言います。下痢の場合、胃腸の消化吸収能力が落ちている状態ですので水分と一緒に栄養分も排出されてしまい、下痢が続く場合は体力の低下を引き起こします。
便秘や下痢の原因
「弛緩性便秘」の原因は筋力(主に腹筋)の低下や腸の蠕動運動能力の低下により排便する力が弱まることが原因です。
「直腸性便秘」は便意を我慢しすぎたり、便秘薬を常習することなどにより排便感覚が喪失してしまうことが原因です。
「けいれん性便秘」はストレスや過度な疲労などで腸の働きが異常になることが原因です。
下痢の原因は水分の摂り過ぎ、冷たいものの摂り過ぎ、暴飲、暴食、消化不良、ストレスなど様々なものがありますが、基本的には腸の機能が弱ることが原因です。
にんにくが便秘や下痢に効果的な理由
にんにくは病気やストレスなどが原因の「器質性便秘」や「けいれん性便秘」を改善することはできません。これらは根本的な原因を取り除くことが必要です。
にんにくが効果を期待できるのは「弛緩性便秘」と「直腸性便秘」、そして病気やストレスなどが原因でない下痢です。
これらの便秘や下痢を解消するポイントを突き詰めると次の4つに纏められます。
- 腸内環境を整える
- 腸の働きを活発化させる
- 便を柔らかくする
- 排便の規則性をつける
この内、にんにくの効能は「腸内環境を整える」「腸の働きを活発化させる」「便を柔らかくする」という面で効果が期待できます。
腸内環境を整える
腸内環境とは腸に生息する腸内細菌の状態と言えます。人間が食べ物を分解・消化するには腸内細菌が欠かせません。しかし、腸内細菌は消化を助けるものだけでなく体に害を及ぼす細菌もあります。前者を善玉菌、後者を悪玉菌と呼んでいます。
悪玉菌は毒物を産出したり腹痛の原因になったり、更には善玉菌を攻撃して分解・消化を妨げ、便秘や下痢の要因となります。この状態を腸内環境が乱れると言います。
にんにくに含まれるアリシンなどのイオウ化合物には強力な抗菌・殺菌作用があり、この悪玉菌を排除する効能があります。その効能により悪玉菌が減り、善玉菌が優勢になることで腸内環境を整え便秘や下痢を解消する効果が期待できます。
ただし、にんにくの食べ過ぎは善玉菌をも排除してしまうことになり、便秘や下痢が悪化してしまうので適量以上は摂取しないように注意しましょう。
腸の働きを活発化させる
腸の働きとは蠕動運動のことを指します。蠕動運動とは腸が食べ物を肛門まで前進させる消化活動に欠かせない働きです。
言わば、消化活動から排便までのベルトコンベアのようなものです。蠕動運動は老化や自律神経の乱れなどにより働きが低下することがあります。これが弛緩性便秘の要因となります。
そして、不規則な生活や便意を我慢しすぎたりすることにより蠕動運動のスイッチが入らなくなってしまうことがあります。これが直腸性便秘の要因となります。
また、蠕動運動が低下すると食べ物が腸内に滞留して消化活動が妨げられ下痢の要因にもなります。
にんにくに含まれるイオウ化合物は刺激性を持つため、腸を刺激し蠕動運動を活発にする効能があるとされます。
また、前述した悪玉菌を排除する効能も蠕動運動を活発化させる効果があります。悪玉菌が少なくなると善玉菌の働きが活発になり、乳酸や酢酸の分泌が促進され、それが腸を刺激し、蠕動運動を活発にします。
このようににんにくの刺激や悪玉菌を排除する効能が腸の働き(蠕動運動)を活発にすることで便秘や下痢を解消する効果が期待できます。
便を柔らかくする
これは便秘解消のみにおけるポイントになります。便秘になると腸内に便が滞留する時間が長くなることで水分がなくなり、便が固くなります。そうなると便が流動しにくくなり、更に便が溜まっていくという悪循環になります。
このような便秘症状の解消は便を柔らかくすることが必要ですが、単に水を飲んでも腸で吸収されてしまうので便を柔らかくすることはできません。
そこで効果を発揮するのが水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は水分を多く含んだまま腸内を移動するので、固い便と合わさることによって便を柔らかくすることができます。
にんにくにも水溶性食物繊維が含まれています。それほど含有量が多くない上に多くを食べられないことから効果性は限定されますが、前述したにんにくの便秘解消効果と合わせて補助的な働きにはなると考えられます。
その他にも、ニンニクの硫黄化合物が胃を刺激し、胃液の分泌を促進させることで消化活動が向上することや、ニンニクの血液サラサラ効果が血行を促進して、自律神経の働きを良くすることも便秘や下痢の解消に効果的と考えられます。
にんにくの便秘・下痢解消効果に対する注意点
にんにくは適量であれば便秘や下痢に効果が期待できますが、食べ過ぎたり、空腹時に生のニンニクを摂取したりすると胃が刺激されすぎたり、腸内細菌の善玉菌まで殺してしまい、便秘や下痢が悪化する場合があるのでご注意ください。
にんにくの適量というのは生にんにくであれば一日一個まで、火を通したにんにくであれば一日二個~三個までです。
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