黒にんにくの成分
黒にんにくの成分は通常のにんにくに比べて栄養価が増すと言われています。実際のところは特定の栄養成分が増すと言った方が正しいと言えます。
黒にんにくの成分特徴「S-アリルシステイン」
黒にんにくで増加する成分の代表格は何と言っても「S-アリルシステイン」です。S-アリルシステインはにんにくにしか含まれていない成分で、しかも通常のにんにくには微量しか含まれていません。
にんにくを熟成・発酵させるとS-アリルシステインは急激に増加し、黒にんにくの効能や効果を決定づける成分となります。
黒にんにくに含まれるS-アリルシステインの効能・効果で最も特長的なのは「NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)」の活性作用です。黒にんにくが癌(がん)予防に効果的と言われるのはこのS-アリルシステインにNK細胞を活性化させる効能があるという研究報告があったためです。
その他、S-アリルシステインはにんにくが持つ抗酸化作用を高める働きがあると考えられています。黒にんにくは通常のにんにくと比べてポリフェノール総量が増加し、活性酸素を除去する抗酸化力が高まるという報告がありますが、具体的な根拠はまだ明確になっていません。有力な説としてこのS-アリルシステインが抗酸化作用を高めているという考えがあります。
黒にんにくの成分内容
黒にんにくは通常のにんにくにある文部科学省科学技術庁の「日本食品標準成分表」のように公的機関から発表されているデータはありません。
しかしながら一部のメーカーでは成分内容を分析、公表しているところもあります。それらのデータを見比べるとかなり成分量にバラつきがみられます。これはにんにくの種類や製造方法によるものと考えられますが、相対的な傾向を確認することはできます。
黒にんにくで増加する成分
前述したように、黒にんにくに含まれる成分の公式データはありませんので、あくまで相対的な傾向ですが黒にんにくと通常のにんにくに含まれる成分の増減を確認することができます。
主要成分
主要成分では主に「エネルギー(カロリー)」と「たんぱく質」は増加傾向にあるようです。当然のごとく水分は減少傾向にあり、脂質は増減バラつきがあります。「糖質」も増加傾向にあります。
 
■A社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| 熱量 | 174kcal | 134kcal | 
| 水分 | 53.6g | 65.1g | 
| たんぱく質 | 8.3g | 6g | 
| 脂質 | 0.3g | 1.3g | 
| 糖質 | 32.9g | 26.3g | 
| 食物繊維 | 3.3g | 5.7g | 
| 灰分 | 1.6g | 1.3g | 
 
■B社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| 熱量 | 301kcal | 141kcal | 
| 水分 | 28.1g | 66.3g | 
| たんぱく質 | 12.9g | 6.2g | 
| 脂質 | 4.9g | 2.4g | 
 
■C社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| エネルギー | 138.0g | 233.4g | 
| タンパク質 | 8.4g | 9.0g | 
| 脂質 | 0.1g | 0.1g | 
| 糖質 | 28.7g | 47.1g | 
アミノ酸
アミノ酸は全体的に増加傾向にありますが、その内容にはバラつきがあります。確認した中では「 イソロイシン」「ロイシン」「メチオニン」「フェニルアラニン」「チロシン」「スレオニン」「バリン」「アラニン」は増加傾向にあり、その他は増加したり、減少したものもあります。
アミノ酸に関してはにんにくの種類や熟成方法に大きく左右されるようですが、大きく減少する成分は無く、全体的にはアミノ酸は増加すると言えると思います。
 
■A社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| イソロイシン | 140mg | 105mg | 
| ロイシン | 250mg | 182mg | 
| リジン | 170mg | 211mg | 
| メチオニン | 87mg | 49mg | 
| シスチン | 160mg | 72mg | 
| フェニルアラニン | 200mg | 134mg | 
| チロシン | 230mg | 124mg | 
| スレオニン | 170mg | 134mg | 
| トリプトファン | 27mg | 67mg | 
| バリン | 250mg | 182mg | 
| ヒスチジン | 68mg | 96mg | 
| アルギニン | 790mg | 950mg | 
| アラニン | 220mg | 153mg | 
| アスパラギン酸 | 510mg | 451mg | 
| グルタミン酸 | 1200mg | 691mg | 
| グリシン | 160mg | 134mg | 
| プロリン | 130mg | 134mg | 
| セリン | 230mg | 144mg | 
 
■B社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| イソロイシン | 270mg | 22mg | 
| ロイシン | 450mg | 33mg | 
| リジン | 120mg | 73mg | 
| メチオニン | 96mg | 5mg | 
| シスチン | 340mg | 2mg | 
| フェニルアラニン | 270mg | 44mg | 
| チロシン | 260mg | 65mg | 
| スレオニン | 290 | N | 
| トリプトファン | 66mg | 9mg | 
| バリン | 440mg | 51mg | 
| ヒスチジン | 100mg | 30mg | 
| アルギニン | 150mg | 820mg | 
| アラニン | 350mg | 49mg | 
| アスパラギン酸 | 800mg | 4mg | 
| グルタミン酸 | 1400mg | 110mg | 
| グリシン | 360mg | 6mg | 
| プロリン | 150mg | 48mg | 
| セリン | 340mg | 52mg | 
 
■C社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| イソロイシン | 240mg | 150mg | 
| ロイシン | 430mg | 260mg | 
| リジン | 230mg | 290mg | 
| メチオニン | 89mg | 70mg | 
| フェニルアラニン | 240mg | 190mg | 
| チロシン | 270mg | 170mg | 
| スレオニン | 230mg | 190mg | 
| バリン | 360mg | 250mg | 
| ヒスチジン | 110mg | 130mg | 
| アルギニン | 830mg | 1300mg | 
| アラニン | 320mg | 220mg | 
| アスパラギン酸 | 610mg | 630mg | 
| グルタミン酸 | 920mg | 960mg | 
| グリシン | 270mg | 180mg | 
| プロリン | 340mg | 180mg | 
| セリン | 210mg | 340mg | 
ミネラル
ミネラルに関してはデータが少ないので信用性が低いですが、「ナトリウム」「カリウム」「マグネシウム」「鉄」「亜鉛」は増加するようです。
 
■A社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| ナトリウム | 36mg | 9mg | 
| カリウム | 930mg | 530mg | 
| マグネシウム | 52mg | 25mg | 
| カルシウム | 13mg | 14mg | 
| 鉄 | 2.1mg | 0.8mg | 
| 亜鉛 | 1.4mg | 0.7mg | 
ポリフェノール
ポリフェノールは黒にんにくで増加すると言われていますが、データとしてもそれは示されているようです。
 
■B社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| ポリフェノール | 940.0mg | 82.0mg | 
 
■D社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| ポリフェノール | 215.0mg | 34.0mg | 
イオウ化合物
意外なことににんにくの効能や効果の中心であるイオウ化合物に関してデータを提示しているところは殆どありませんでした。
データが少ないので確証は得られませんが、「S-アリルシステイン(S-アリル-L-システイン)」は増加しています。「アリイン」と「アリシン」が大幅に減少しているところを見ると、この2つが化学反応によって「S-アリルシステイン(S-アリル-L-システイン)」に変化したと予測できます。
 
■D社
| 黒にんにく | 通常のにんにく | |
| S-アリル-L-システイン | 16mg | 1mg | 
| アリシン | ND | 17mg | 
| アリイン | 68mg | 518mg | 
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