ニンニクの歴史
にんにくの歴史は非常に古く、ピラミッドと深い関係があります。現在のようにいろいろの機械があるわけではない時代に、あの大きな重い石を積みあげたのは現在においても謎です。ピラミッドを築きあげる労働者の体力の消耗を防ぐためににんにくを支給していたという歴史があります。
にんにくの発祥
ピラミッドの時代ににんにくを支給していたことも驚きですが、そのにんにくがどこで生産されたものなのか、またどこから運ばれてきたものかということも疑問として残ります。
古代ギリシアの歴史家であるヘロドトスの著書「歴史」の中で、ピラミッドには労働者に支給するために消費したにんにく、タマネギ、大根の金額が記録してあると書かれています。
そして一日数万人の労働者に支給したといわれるにんにくを輸入することは不可能であるとも述べています。古代文化の発展程度を考えてみるとにんにくの発祥の地は中近東ではなかろうかと考えられます。
古代のにんにくに期待された効能
にんにくは古い時代から強壮剤として体力維持、疾病予防のために多くの量が用いられていたことが分かっています。
にんにくはエジプトからインドを経て中国に到着し、その間の多くの国でにんにくの偉大さに人々がひきつけらていたのです。その代表格が遊牧民です。遊牧民にとってにんにくは生活必需品でした。
遊牧民においてこのにんにくが生活必需品であった理由は、長い間に築きあげた感と考察力の結果でありましょう。遊牧民の食生活は羊の肉が主であり、その肉を一日でも長く保存することが経済的にも必要だったのです。
バビロニア、アッシリア、エジプト、インド、中国、ギリシャ、ローマなどで見つかった古文書の中で、にんにくは腸の失調、鼓腸、寄生虫病、呼吸器疾患、皮膚病、外傷、老化によく効くと記録されています。
また古代ローマの政治家そして軍人でもあったプリニウスは、にんにくは強い力をもち非常に効き目があると言ったといわれます。その内容は動物の咬傷、トリカブト中毒、打ち身、喘息、黄痕、下痢、痛痛、扁桃炎、寄生虫、咳、腫れ物などの効能をあげています。またプリニウスの著書「博物誌」の中ではにんにくは医薬としています。
日本におけるにんにくの歴史
第10代崇神天皇の時代、朝鮮からの帰化人が済州島からにんにくを持ち返ったという記録があります。これを朝鮮人参と比較してみると、日本への到来は第45代聖武天皇の時代といわれ、にんにくの方が早く日本に到着したことになります。
万葉集や源氏物語の中にはにんにくとの触れ合いが細かく記されています。万葉集にはにんにくを料理に使うと美味しいと記述されています。
その代表的なものが以下の文です。
ひしおすに蒜つきかねて鯛ねがう
吾にな見せて水葱の羹
(にんにくをすりおろして二杯酢をかけ、その中に鯛をつけて食べるとおいしい)
この時代ではにんにくの作り方、疲労回復剤としてのにんにくの利用法が進んだと言われます。ちょうど仏教が日本に入ってきた時代です。源氏物語では初めてにんにくを熱冷ましの草薬として用いています。これが有名な「雨夜の品定め」です。また肺病、妊娠の保健などに使ったという記載もあります。
古事記にはにんにくの利用法があげられている他、日本書紀、字津保物語にも肺病、妊婦の健康、風邪などにニンニクを使ったという記載があります。
にんにくという言葉の由来
にんにくは「忍辱」から出た言葉と言われます。
憎が修行に耐え得る体力を作るために禁を犯してでも食べたといわれることからこの名がついたといわれています。これは鎌倉、室町、桃山、徳川時代のことで、「不許羣酒入山門」 (にんにくを食べたり、酒を飲んでは仏の道は歩めないという戒めである。)という言葉もある程です。
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